Roamers Lifeという生き方

エストニアをベースに無拠点生活を目指す奮闘記

『ブロックチェーン革命』を読み終えて

ブロックチェーン革命

 この本を読むきっかけになったのは、DAOという分散自律型組織の存在をもっと詳しく知りたいと思ったからです。

ブロックチェーン革命は、インターネット革命と同じかそれ以上の革命だと言われています。

なぜなら、今注目されているAI(人工知能)やIoT(モノとモノが繋がるインターネット)、ビットコイン(仮想通貨)、自動運転車に至るまで全てにおいて必要不可欠な技術だからです。

インターネット革命が起き、世界はフラットになると騒がれました。95年〜20年前後に生まれたIT企業(スタートアップ)は、世界を席巻しました。しかし、フラット化するどころかGoogleAppleFacebookも巨大組織になり、少数の大企業が世界を支配するようになりました。

 

では、なぜインターネット革命ではフラット化できなかったのでしょうか?

インターネットの欠陥

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1)経済的価値を簡単に送ることができない

2)真正性の証明ができない

この2点がフラット化できなかった大きな理由です。

 

「経済的価値を簡単には送ることができないってどういうこと?」と思われるかもしれないので、説明します。

経済的価値とは、"お金"のことです。

ECサイトで商品を買えている」という反論あるでしょう。

Amazon楽天など名前を知っていて、信頼を持てるからクレジットカードの番号を教えることができます。もし、これが無名の企業だったら、悪用される恐れもあるから教えないでしょう。

もしかしたら、Amazonの偽サイトかもしれません。正しいサイトか否かを判断するために、SSL認証という仕組みができていますが、この認証を導入するのには大きなコストがかかります。

また、"信頼"ができるのは、上場企業だったり大企業であるという世間的評価になるでしょうし、客観的な視点であれば"SSL認証"(https://)があるというものです。

また、インターネットで商品を買うときは、クレジットカード決済やコンビニ決済など第三者を通してでしか決済ができないので、小さい企業だと手数料の負担が大きくなります。

企業だけの負担ではありません。この手数料の負担は、消費者である我々に回り回って帰ってくるのです。

要するに、従来のインターネットは、大企業に有利であり、巨大な組織にしないと取引ができなかったということです。

2番目の真正性の証明は、SSL認証のような形でしか真偽がわかりませんでした。従来のインターネットでは、「犬と人の区別もできない」と言われているほどです。

先ほども述べましたが、SSL認証を得るには大きなコストがかかります。

 

ここでなぜ、ブロックチェーンならフラット化できるのか?という疑問が浮かびます。

 

ブロックチェーンでフラット化

なぜ、フラット化ができるかというと、ブロックチェーンは『信頼を必要としない』からです。

ブロックチェーンで管理される記録は、改ざんされていない記録。すなわち正しい記録でです。そのため、管理者や組織を信頼する必要がなくなったと言えます。。

 

改ざんできない理由で面白い箇所があったので引用します。

このシステムは、信頼に基づいて構築されたシステムではないが、不正行為をすると損になるのだ。性善説に基づいて人々が悪事を働かないことを期待するシステムではなく、仮に人々の性が悪であってもなおかつ機能するシステムなのである。しかも、合理的な判断に基づかず、コストを顧みずに悪事を働こうとしても、成功しない。

抽象的なのでわかりづらいかもしれませんが、データを改ざんするのに多大なコストをかけるよりも、正当な方法でマイニング(取引台帳への追記作業)をしてビットコイン報酬をもらう方が合理的なので改ざんを試みる人が少ないということです。

そして、たとえ試みたとしても、マイニングに参加する世界中の1万台程度のコンピュータをハッキングして同時に改ざんする必要があるため不可能と言われています。

 

DAO(Decentralized Autonomous Organization):分散型自律組織

今回、最も関心があった部分です。

簡単に言うと、管理者すなわち経営者がいらない組織のことです。管理者がいない代わりに、P2Pで繋がる多数のコンピューターが組織を運営します。

意思決定、実行、紛争解決は、人が行うのではなく、プロトコルがあらかじめ決められたルールに従って行なう。DAOはブロックチェーンによってコントロールされ、変化の聞かないルールに従って運用されるため、たとえ企業がなくなったとしても、サービス自体は提供され続けていく。

代表的な例としては、ビットコインが世界初のDAOであると言われています。

AIで動くDAOができたら、それはターミネータースカイネットになるかもしれないと言われている。

 

このDAOになぜ私が惹かれているかの答えはここにあります。

 独立した個人がプロジェクト単位で仕事をする時代の起業とは、DAOを立ち上げることだと考えているからです。

DAOのプロトコルが今までの意思決定や事務作業を代行してくれるため、人間は創造的な仕事に集中できるようになります。

中間搾取がなくなるため、創出された利益をプロジェクトに携わった人たちが平等に分配されます。

人間が管理しないので、社内政治が行われないですし、不正も行われない組織になります。オープンであり、透明性が担保されます。

 

フォルクスワーゲンの排ガス不正や東芝の不正会計、政界では年金問題森友学園問題、アメリカでは大統領選挙の不正やトランプ大統領の機密情報漏れの疑いなど世界中で中央集権の弊害がはびこっています。

 

全ての組織がDAOになることはできませんし、なる必要もありませんが、分散型自律組織という道がこれから主流になると思います。

 

最後に

ブロックチェーンによって、組織を『信頼する必要がない』社会がやってきます。個人と個人が直接的に繋がり、取引ができる時代です。

管理者が不要になったり、第三者機関が必要なくなったりとコストがどんどん減ることで、安く経済活動が行うことができるだけでなく、やりたいことを仕事にしたり創造的な活動に集中できたりします。

雇用が減ってしまうのではないかと心配する声もあるでしょう。その心配はありません。

18世紀の産業革命で、機械が生まれ確かに人間の労働が代替されました。しかし、機械を管理する雇用が新たに生まれました。そのほかにも、その工場周辺の街にも産業が生まれました。

このような状況がこれからきます。

ブロックチェーン革命やAIによって、現在の雇用は無くなりますが、新たな産業が生まれ新たな仕事が次々に生まれます。

今ある仕事の70%がなくなると言われていますが、裏を返せば、新たに70%の仕事が生まれるということです。

これはチャンスです。新たに生まれる仕事に早くから従事すればプロフェッショナルに誰もがなれるということです。

ブロックチェーンもその一つなのだと思います。

 

 

野口悠紀雄氏の記事があったので、これも合わせて読むことをお勧めします。

<第1回>

shuchi.php.co.jp

<第2回>

shuchi.php.co.jp

<第3回>

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