型に縛られない企業になるには
小さなチーム、大きな仕事
小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/12/15
- メディア: Kindle版
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今回、読んだのはこの本です。
前に紹介した「強いチームはオフィスを捨てる」と同じ人が買いた本です。
この作者が、一貫して伝えているのは、大企業になる必要はないということです。むしろ、小さな企業の方が小回りが効くし、何度でもチャレンジできるという利点があり、その期間を楽しめとのこと。
最近、日本は起業家が少ないということで、「起業」「スタートアップ」「資金調達」「IPO」「企業売却」などがバズワードになっています。
私も、このバズワードに踊らされていた時期もありました。
今回は、本書を通じて感じたことを中心にブログを書きたいと思います。
幻想
本書にもありましたが、「会社の規模」で相手を判断することが多々あります。これは無意識のうちに洗脳されているものでもあります。
たいていの人は、10人未満の会社の経営者と100人以上の会社の経営者だと、100人以上の会社の経営者の人を褒めます。
なぜ、社員の数が多く会社の規模が大きいほどすごいと考えるのでしょうか。
大企業のような規模が大きな会社が"偉い"という風潮がはびこっているからではないかと思います。
1万人規模の大企業が安定しているというのでしょうか?
京都では、100年以上続く小さな会社が山ほどあります。老舗企業は、社員を100人も抱えている訳ではありません。代々家族経営をしていても続くのです。
会社の規模は関係ないのではないでしょうか。
規模を求めるのは、大きなプロジェクトを大人数でやることで、難しい課題を短期間に作り上げたいからでしょう。しかし、その副作用は、柔軟な変更ができなくなりますし、マネージメントコストが大幅にかかってしまいます。大人数でやるとなると、その分の給料が発生するので、資金も必要になります。
何を目指すかは人によって異なりますし、全て正しいです。しかし、規模が小さいことを後ろめたく感じてはいけないと思いました。持続的に続けられ、大切な人に喜ばれるモノを作れるのであれば、会社の大小など関係ないですし、むしろ小さいことを誇りに思うべきです。
起業とは
以前から、今の事業を法人化するか否かについて考えています。
世間的風潮で言えば、起業とは"法人化して事業を始めること"という意味合いで使われています。
辞書的な意味では、"新しく事業を始めること"です。
つまり、法人化する必要はなく新しいビジネス(プロジェクト)を始めていれば、それは起業ということになる訳です。
起業という言葉は、使い古されていて、本書では起業家ではなくスターターという表現を用いていました。
起業という言葉に踊らされ、会社を起こすことが目的化されてしまっては本末転倒です。(私の高校時代がそうでしたが笑)
投資家の方々は、学生が起業することはいいことだ。起業してから事業を考えればいい。とおっしゃる方もいますが、彼らの立場にたつと起業家人口が増えなければ、自分の仕事がなくなるので、当たり前の発言な訳です。100社投資して、1社がうまくいけばいい世界なのです。
真に受けてもいいですが、私はとりあえず法人化は本質ではないと思います。(何もしない期間も税金で支払いがありますし、投資が入っているならプレッシャーもあります)
本書では、"外部資金は最終手段"として語られていました。シリコンバレーを始めとして日本でもスタートアップは投資を受けるというのが通例です。誰に投資を受けたのかがブランドになり、信頼が得られるとされています。しかし、そのブランドと信頼は見せかけではないでしょうか。あなた自身のブランドや信頼ではなく、その投資家のブランドであり信頼です。それでは、甘い蜜を吸わせてもらっているだけではないかと今回思わされました。
そして、他人のお金を使えるというのは素晴らしく聞こえますが、ユーザーのための製品ではなく、投資家のための製品になってしまう危険性もあります。
また、これは私の話にもなりますが、資金調達に注意がいってしまい、作らなければいけない製品の開発が遅れてしまうことがありました。
シードの段階では、アイデアしかありません。投資家もアイデアを評価するというよりもその人が真剣なのか狂っているのかを見ています。仮に投資が受けられたとしても、事業が評価されたわけではないので、検証にもなりません。
お金がないことはチャンスです。
資金調達に成功し、お金が手に入った瞬間、社員を雇ったり、追加したい機能をどんどん追加します。都心部のおしゃれなオフィスを借りて、安心した顔で仕事をしてしまうでしょう。
お金がなければ、短期間で成果を出さないといけないので、石にもすがる思いで狂ったようにプロダクトを作るでしょうし、お金に堅実になり、機能も削れるだけけずり本質を見つけようとします。
私もついこの間まで、資金調達先を考えていました。しかし、最近はそれよりも大事なことがあると思い始めました。それは、いかに面白いプロダクトをシンプルに作るかです。独創的な世界観を描き、ニッチな人だけが面白がってくれて、気がついていたら一緒に事業をしていたという状態を作れるかに面白さを感じ始めました。
資金調達を考えていた時期は、試算表や資本政策を作ってみたり、ファイナンスを勉強したりしていました。また、「マネタイズをどうするのか?」「市場規模はどれだけあるのか?」という机上のことばかり考えていました。
潜在顧客と向き合う時間があまりに少なかったです。
しかし、潜在顧客とのコミュニケーションを高めたことで、本当に大事なことを学べました。
話がずれてしまいましたが、初期の段階は、資金調達は必ずしも必要ないと思います。自己資金で好き勝手にやったほうが、ブラッシュアップがされ、その結果資金調達が必要とあれば、資金調達をするのはありなのだと思います。
面白い事業というのは、「タダでもいいから働かせてくれ」と言われるような事業なのだと思います。直接的に、「タダでもいいから働かせてくれ」とは言われないかもしれませんが、「なんでも手伝うから、連絡して」とか「一緒にやろう」とか言ってくれます。私も、今やっている事業は、2人の社会人の方がボランティア的に関わってくれています。また、事業連携という形で2人の事業家の方にも手伝ってもらっています。
まだ、本格的なプロダクト開発に至ってはいませんが、価値観の合う人と巡り会い、共鳴し合えば、いくらでも手伝ってくれる人はいます。ここには、法人という信頼も投資家のブランドもありません。
そういった事業を形成することを突き詰めたいなと思っています。
ほとんど、本書とは関係ない話をつらつらとしましたが、型に縛られない会社の考え方を読んでみるのは面白いです。
小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/12/15
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- 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/11
- メディア: 単行本
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